前日に見たけれど買わなかったジャケットがやっぱり気になって、ふたたび11区のブロカントへ。
まだ同じラックに掛かっていた。この寡黙な男性のスタンドでは何度か買い物をしたことがあって、見かけたら必ずチェックするようにしている。
おそらく1950年代の、肉厚なモールスキン地のワークジャケット。メーカーは品質に定評のあるLe Mont St-Michelだ。
サイズ52とあるけれど少し小さめのようで、肩幅46-48cmの夫がTシャツの上に着てちょうどくらいだった。女性が腕をまくってオーバーサイズ気味に着てもいい。
さて、目的の品は入手したしもう帰ってもいいのだけれど、せっかく来たので他のスタンドもざっと見る。
ラックに掛かった数着を見て、なんだか趣味のいい品ぞろえだなと思ったら、ヴィンテージディーラーBが座っていた。Bがブロカントにスタンドを出すのは、久しぶりなのではないか。
彼女は売るのが本当にうまくて、うっかり何か触るとそれを買ってしまう羽目になる(ので、とても気をつけている)。
背中が大きく開いた黒いスウェード地のドレスがイチオシと言われたけれど、似たようなワンピースを去年、Lから買ったのでいらない。
買うものは特になさそうと思って雑談を始めたら、真っ赤な生地のパンツが目に入った。神社の鳥居の色みたいな、クリアな印象の朱赤に吸い寄せられる。
1970年代前半ごろのワイドパンツ(フレアじゃなくて幅広ストレートね)。リネンっぽい手触りだけれど、素材は合成繊維だった。
ポケットは無くて、後ろ姿がとてもスッキリしていてエレガントだ。
タグにはJ.L.Clément Sport Wear Parisとある。ブランドの情報は特に見つからず。1970年代だし、女性のお出かけスポーツウェアといったら、ボウリングとか?スポーツウェアを謳っているわりに、伸縮性はまったくない。
ディーラーBにはサイズは大丈夫と断言されたものの、パンツはシルエットが命だし、試着してから決めたい。
ちょうど隣が軍ものディーラーTのスタンドだったので、トラックの荷台の後ろを借りて試着させてもらった(Tは優しいのだ)。ぴったりだったので購入。
デッドストックだったせいもあり裾がかなり長くて、10センチくらい裾上げした。さて何と合わせていつ履こうか。
つづいてディーラーLのスタンドへ。
目新しい品物はなさげと思ったら、1着、ひっそりと隠れていた。
1930年代のシルク地のドレス(黒くて艶のある生地にピントがなかなか合わなくて撮影が大変だった)。
ボートネック気味で、肩から裾までストンと一直線で、かっこいい。
くるぶし近くまである長さで、裾にレースがあしらわれている。白い糸で全て手縫い。なんで布と同じ黒い色の糸を使わないんだろうといつも不思議に思っているのだが、仕事中に縫い目が見えないからなんだろうな、きっと。今みたいに明るい照明器具はなかったし、メガネの機能もたいして高くなかったはず。
手洗いしたら予想どおり結構な色落ち(昔のシルクは色止めされていない)をしたので、掃除用の濃いお酢にしばらく浸す。ところどころにしつけ糸のような紺色の糸が残っていたのを、アイロンがけの際に見つけた。
最後に、気になりつつもまだ買い物をしたことのなかった器のスタンドへ。
ある品物を買ったのだけれど、これは人へのサプライズの贈り物なので、相手の手元に渡ってから詳細を追記する。