クリニャンクールの蚤の市 | 2020/01

「蚤の市の中に住んでるからさ、月曜ヒマだったら案内するよ」と、またLに言われる。

そういえば、行く行くと言いつつ、まだ行ったことがない。クリニャンクールなんてもう10年以上行っていないし、そろそろ行くべきか。

「12時ごろに着くよ」とSMSを送り、オッケーの返事をもらい、15時前にやっと会えた。どうやら急用でパリに出ていたらしい。

彼女を待つ間にだいたい有名どころは見終わっていたので、カオスな路上マーケットとか、彼女の友人たちの店を案内してもらう。

さすが住人だけあって、20歩ごとに人から声がかかる。15人くらい紹介されてあいさつしたけれど、もう顔も名前も忘れてしまった。

最後に、路上で紹介された中の1人の営むアクセサリー店に行った。早口で高い声でよくしゃべる、明るい女性だ。

Marché Paul Bertの、Crédit Mutuel銀行のATMとカフェLe Paul Bertの間をまっすぐ行って、少し右に曲がったところにあった気がする。あまりに寒かったので記憶がすでに薄い。

彼女とLとの会話を聞いていたら相場がなんとなくつかめて、ここではブレスレットは買えないなと察した(値段の数字にゼロが1個多いんだよね)。
2人でずっと盛り上がっているので、なんとなく指輪の試着をしてみる。すると、怒涛の勢いで接客が始まった!

さすがアール・デコ時代と各種樹脂(ベークライト、ガラライトなど)のプロだけあって、材質や色の特徴などを的確に(早口で)教えてくれる。

中に1つ、いい色のベークライトがあった。「Pêche de vigne(ペッシュ・ドゥ・ヴィーニュ、直訳すると「ブドウ畑のモモ」。ブドウを蝕むウドンコ病に敏感な点が歓迎され、ブドウ畑に植えられていた。外皮も果実も赤紫色の果実)みたいな絶妙な色でしょ?こういうのはめずらしいよ」と。
たしかに、よく見かけるベークライトはオレンジがかった茶色だけれど、これはうっすらピンクがかっていて、酸味の効いたみずみずしい色だ。

1940-50年代ベークライトのリング

20個以上あった中から悩んで絞った4つの中でも、私の指を断然きれいに見せてくれたこれに決定(手が小さくて指が短くて水かきが多めなので、似合う指輪を選ぶのがたいへんなのだ)。

中指の第二関節を覆うようにつけるのが気に入っている。

1940-50年代ベークライトのリング

夏につけても金属アレルギーの出る心配はないし、冬にやたらと冷やっとしないし、昼夜を問わずつけられて、軽いから旅にもいい。とても気に入った。予想外の買い物だったけれど、Lと一緒に蚤の市を回った記念にもなる。

5時間ほど滞在したかな、晴れてはいたけれど凍えるような寒い日を選んでしまった。