30分ホームで待ち、やっと来たSNCFのJ線に乗り、Pontoise駅へ。
駅にさしかかる直前に、大きな城壁のようなものが見えた。
「もしタクシーがいなかったら、ポントワーズ城観光でもいいかも。」と一瞬思う。
駅前には人もまばら。Cさんが駅員に確かめると、やっぱり次の電車は2時間半後。「表でタクシーが見つからなかったら、知っているタクシー会社の電話番号を教えるよ」と言ってくれたそうで。
駅の正面、教会に向かう坂の途中にATMを見つけたので、タクシー資金を調達。その後、ダメ元でバス乗り場をうろうろ。目的地Rue Rémyに行くバスは、ある!でも次の便は18時すぎって… しかも行ったら行ったで復路の便がなくて、戻って来れないんじゃ?!
タクシー乗り場へ。案内板に書かれている電話番号にかけても繋がらないので、さっきの駅員にタクシー番号を教えてもらおうか、と思ったところ。
そのタクシー乗り場に私たちより前に来ていた若い男性に、「タクシーを待っているんですか?」とCさんが訊いている。彼はタクシーではなくて、家族の迎えを待っているらしい。
「この辺はタクシー少ないんですか?」
「うーん、日曜日だしね、少ない。」
人懐っこいCさんが、さらに訊いてみた。
「お父さんの車に、一緒に乗せて行ってもらえませんか?」
すると彼、
「今、父さんに訊いてみる」と。
うわー、もしかしたら乗せてもらえるかも!
Cさん、すごい!そのコミュニケーション能力(ネゴシエーション能力)、私も見習わなければ。
しばらく3人で話していたら、彼は日本語を独学しているということが判明。
カバンの中には、分厚い教本が入っていた。職業は料理人で、寿司レストランのMatsuriでも働いていたことがあるらしい。
彼の父上の車が到着。改めて、私たちの困った状況を説明してくれている。
呼ばれて車に近づくと、「今、家にお客さんがいて、ちょっと席を外して息子を迎えに来ただけなんで、困るなあ」
そりゃそうだ。
「お気持ちだけで十分です、ありがとう」
と去ろうとしたところ、息子さんの方が「バス停で4つだから、そんなにかからないって」と説得してくれている…なんて優しい人だ。
結局お父さん、「乗りなさい」と。やったー!
すごい偶然で、このお父さん、私たちが乗りたかった路線(その日は18時すぎまで来ないバス)のバスの運転手さんだそうで。運転はさすがに上手だった。
何か日本に関係あるものを持っていなかったかとバッグの中を探したら、あった、OVNI(在仏邦人向け日本語新聞。仏語の記事もあり)が。
お礼というにはささやかすぎるけど、パリまで出かける時間はあまりないと言っていたから、喜んでくれるかも?
Chaponval駅前で降ろしてもらって、お礼にOVNIと、少々のお金をお渡ししようとしたら、お金の方は丁重に断られた。会話の流れから、予想はしていたけれど。よかった、新聞を持っていて。
ミカエル君とその父上、天使のような笑顔の親子だった。
ありがとう!
(つづく)