どうやらまともに訪問するのは初めてらしい、5区のブロカント。
うちからは行きにくい場所なので、いつも候補から外れていた。
前の週にDが「すごいの仕入れたから絶対に来た方がいい!」と言うから、はるばる訪問することに。
さらに、夫の従姉妹が当日の朝遅くに(この人はいつもギリギリで誘ってくる)「うちの近所でブロカントあるけど、くるでしょ?昼食いっしょにどう?」という内容のSMSを、夫に送ってきた。
とっくに家での昼食の準備を終えてしまっていたので、ランチ同伴はパスして、ブロカントの開催場所で会うことにする。
メトロの駅前の小さな広場に、30弱ほどのスタンドが並んでいた。
久しぶりに、アルミ製のうつわを見つけた。
キーホルダーやボタンやイヤリングがごちゃごちゃ入っていたのを外に出して、穴が空いていないか、サビのような汚れは落ちそうかを確認する。
売ってくれるかどうか訊くと、OKとの返事。
私が持っているものの中では、けっこう大きめだ。
ペラっとしていて造形が単純で、なんとも言えない愛嬌がある。
紙を敷いて、フライをどさっと盛ったら良さそうだな。
肝心の紙ものディーラーDのところでは、予告されていた大物の入荷はなく(受け取りが遅れているとかで、彼女も不安そうだった)、別のものを買う。
1つは、1811年にローマ時代の浴場跡で発見されたモザイク画のデザイン写し。
出版社Hachetteから発行されたとあるので、画集か書籍の中の一部だと思う。
羽衣をまとった女神のような人物が、6個の六角形の中にそれぞれ配置されている。
もう1つは、ちょっと悪魔っぽくも見える装飾。
こちらには「図版86 イタリア」というキャプションが、フランス語とドイツ語で2ヶ国語表記されている。詳しいことはわからないけれど、かわいいデザイン。
Hachette et Compagnie出版社の創立は1846年。
創設者Hachette氏の没後、1914年にHetzel出版社(Jules Verneの版元)を買収、1919年にはLibrairie Hachette社に社名変更している。
以上のことからこの図版は、1846年から1918年までに出版されたものだ。
さらに、第一次世界大戦中に多色刷りの図版を出す余裕はなかったと思われるので、1914年よりも前の印刷だと思う。