パリ11区(Bd. Beaumarchais)のブロカント | 2018/03

1年ぶりの11区、バスティーユ界隈のブロカント。

薄汚れたカラフルな布に興味を惹かれた。
1960-1970年にフランスで販売されたタバコのパッケージが描かれた、ふきんだった。

布質からもデザインからも、明らかに1960-1970年代あたりなのだが、右下にあるVal de Sèvreの文字が謎。

農協とか商工会が作って配った記念品(昭和時代の日本の、社名入りタオルとか手ぬぐいみたいな)だろうと思っていたら、Val de Sèvreという名の町の創設は1994年、しかも2013年には、市町村再編により消滅している。

他には同じ名前の市町村はないようだし、企業名でもヒットしないし、困った。
デザインが面白いから、まあいいんだけど。
洗濯したら見ちがえるように綺麗になって、うれしい。

そして、黒猫の描かれたパッケージのタバコがあったとは!
Craven“A”という銘柄。か、かわいい…


かわいい仔鴨の絵がついた、ままごと用のボウル。
数年前に欲しいと思っていた、Longwy窯のものだ。忘れた頃にこうやってポロっと見つかる。

刻印の情報が手持ちの資料にはないものの、おそらく1910年から1930年代頃の品。おいしそうに色褪せた、ピンク色が良い。


軍物ディーラーTのスタンドでは、イタリア海軍のリブ編み地タンクトップ(1994年製造のデッドストック)を買った。

肩の紐の細さとか袖ぐりのカーブとか、イタリアは軍物もさりげなく官能的で、洒落ていて感心する。丈が十分長いのもいい。

そういえば、ガリエラ宮(パリ市立服飾美術館)で開催の企画展「マルジェラ/ガリエラ」にも、この同じタンクトップをくるぶし丈に延ばしたデザインのワンピースが展示されていた。


この日は、古いシルクのシャツを売るスタンドがやたらと多かった(今期春夏の流行り設定だから)。

けれど私が心惹かれたのは、1970年代のポリエステル製のシャツ。
エルメスやグッチが乗馬モチーフのシルク素材のシャツを流行らせ、あらゆるメーカーが真似して同じようなシャツやワンピースを化繊で作った、そのうちの1つだ。

浮遊感あふれる馬車のイラスト(競馬の1つ、繋駕速歩競走だと思う)。


ヴィンテージ服ディーラーLのスタンドへ。
新しい品物を見せてもらいつつ、しばらく話す。
今日は買うものはないと立ち去ろうとしたころ、奥に吊られた1着に気づく。

鈍くキラキラしていて、まさにアール・デコという感じのボレロは、1930年代の品。

手に取って、そのしっとりとした重量に驚く。
チュール地に、金属糸が縫いつけられているのか。

裏側(左半分)と表側(右半分)の様子。
しかしこの織地というか刺繍地、いったい、どういう機械で作るんだろう…

ボレロとしてはもちろん、首に巻いてもいい。金属製アクセサリーと布製スカーフの間の、面白いアイテムだ。こんなのはもう見つからないと思ったので、現金を下ろして購入した。

ヴィンテージの服は出会いが命、そして早い者勝ちである。