パリ15区(Bd. de Grenelle)のブロカント | 2017/10

8ヶ月ぶりの、15区の高架下ブロカント。

前に来た時に目玉焼きの器を買った男性のスタンドで見つけた、まるで汚い雑巾のようにぶら下がる布切れには見覚えがある。
手に取ってみると、密かに集めている19世紀の兵士用スカーフだった。

あちこちが破れているのだが、洗って裏側から当て布をしたら、なかなか良い感じに復活した。

1872年、新しい法律の下に召集された兵士の大部分は文盲だった。
そこで当時のPerrinon士官は、常に身につけることのできるスカーフに、図と簡易な説明文で兵役業務の基礎をプリントすることを考案し、1875年より運用されることになった。

1880年には1番から10番までの計13種類(途中に1bisや4bisや9bisがあるので)存在し、私が現時点で所有するのは5番と8番と、この日に見つけた9番。

兵役マニュアルを携帯できる上に、約70cm角と大きめなので、負傷時に包帯がわりにもなる、という優れものである。
1909年には廃止されたものの、1880年から1909年までの20年弱にわたって使われた。

1番 : 1866年モデルの銃の分解と組み立ての手順
1bis番 : 1873モデルの回転式拳銃の分解と組み立ての手順
2番 : 1874年モデルの銃の分解と組み立ての手順
…(以下略)

…というふうに、ほぼ武器の扱い方についての説明(危険を伴うし最重要)なのだが、中には「騎馬隊の掟」や「傷病者の手当て」「効率の良い荷づくりのしかた」などもある。

実用性はもちろんのこと、デザインもいいのだ、このスカーフ。
Noir indestructibleと書かれているので、この黒色は、絶対に消えないということらしい。どういう染料を使ったのか気になる。

このスカーフを買ってからしばらく進むと、予告どおりLのおしゃれなスタンドがあった。

今日はさすがに買いたいものはないよね、と恐る恐るスタンドをのぞいたら、目が合ってしまった、この素敵なマッチ箱専用のケース!

1880年ごろのイギリスの品物である。
1890年以降はブリキへのカラー印刷が一般化されたので、金と黒の2色刷りであることから、年代が断定できるのだ、とLが説明してくれた。

しかも当時の紙製マッチ箱とマッチもそろっている。なんとかわいらしいオブジェだ…

どうしてLはいつも、こういう素敵な品物を持ってくるのか。