パリ5区(Av. des Gobelins)のブロカント | 2014/06 後編

Gobelins大通りでのブロカント、後編。

以前、イタリア製の麻布(ラミー)で仕立てたフランス海軍プルオーヴァーを購入したスタンドに再会。

この日は、イタリア海軍の女性用冬服セーラーの、デッドストックを見つけて試着した。

上から下まで等幅なので着脱がちょっと大変ではある… が、そんなことは吹っ飛ぶほど気に入ったので買った。


1896年の夏のヴァカンス用に無料配布(とは言え、ターゲットは庶民ではなく富裕層)された、ドフィネ地方(今で言うローヌ=アルプ地方あたり。グラタン・ドフィノワが名物の、フランス南東部)観光ガイドブック。
アール・ヌーヴォーな雰囲気が漂う表紙はリトグラフ刷りで、本文は活版印刷。

綴じ込み付録に当時の地図(道路がずいぶん少ない気がする…)、そして斬新な広告レイアウト!

本文の周囲を3方囲みで、文字原稿のみの赤1色刷り、これが同じ広告主で何ページも、延々と続く。表4の全面広告よりも効果的なんじゃないかとすら思える。当時の出稿料を知りたいものだ。

ホテルの広告。デフォルメされた絵が、かえって旅情をかき立てる。

馬車の宣伝もある、「狩猟用・ホテル送迎用」だって。
面白いのは、中央の馬のイラスト以外は製図で、各図の下部に薄く、社名がかぶせてあること。昔の意匠コピー対策。

折りたたみ自転車の広告。19世紀に既にあったのか、折りたたみ式の自転車が!
描かれている男女が全く楽しそうに見えないのが、シュールでよろしい。
価格は旧フラン表記、庶民には手の届かない高級品自転車だな。


非常に暑い日だったので、目に入ったスタバで休憩。途中で手を洗って席に戻ってくると、古い小冊子が卓上に。

ドフィネの観光ガイドと迷った末に、買わなかった方のガイドブックだ!なんで?!と思ったら、私がATMで現金を下ろしている間に、夫がこっそり買ってくれたのだそうだ… なんていい人なんだろう(涙)。

これは1913年冬のヴァカンス用にCompagnie des chemins de fer de Paris à Lyon et à la Méditerranée(略称PLM。SNCF結成で統合される前の、鉄道会社の1つ)が配布した、南仏コート・ダジュール方面の時刻表。

巻末には地図付き。

パリを朝の7:10発の列車に乗ると、17時間後の夜中、0:09にマルセイユ着。
マルセイユからToulon、La Garde、Carnoules、Les Arcs、Fréjus、St.-Raphaël-Valescureなどに停車、カンヌには明朝5:06着、ニースには6:14着、終着駅マントンに7:36着。

24時間かかったんだ… パリと南仏を結ぶ便は1日13本、急行でも20時間ほどかかったようである。

2 Comments

こんにちは。まだ駆け出しですが、仕事として(趣味も兼ねて)フランスアンティークやブロカントを扱っているメゾン・ヴィヴィエンヌのびびあんと申します。
場所の参考にさせていただこう と思って読み進めると、鹿島茂先生の著書を読んでいるかの詳しい歴史背景の説明。タダで読ませていただいているのが申し訳なくなり(笑) 思わずコメントしてしまいました。
またときどき勉強のために訪問させていただきますね♪
(私のblogはamebaなので、読者登録出来ないのが残念です!)

びびあんさん
こんにちは。自分が知りたいという気持ちと、調べた内容を忘れないようにするために書いているのですが、他の人にも楽しんでいただけるならうれしいことです!びびあんさんのお店を見に行きました、「気付け薬の瓶」がいいですね〜!

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