パリ20区(rue des Pyrénées)のブロカント | 2017/01

19区のPlace des fêtesでのブロカントを見終えた後、20区のブロカントへ移動。
昨年11月と年始に訪れた際には、手ぶらで帰宅しているブロカントだ。
あまり期待せずに寄ったのだけれど、今回は収穫あり。

パスタ製造大手リュスチュクリュ社の卵型キーホルダー。
これと全く同じものを買ったことがあると思ったら、もう6年も前のことか。

Kodakのフィルム用アルミ缶の中には、プラスチック製のリールが入っていた。
リボンや紐を収納するのに良さそう。

小さい方のアルミ缶は、人工甘味料EDULCORの携帯用ケース。
蓋には「糖尿病患者に推奨」とのキャッチコピーが。

どう見ても100年ほど前の品物という雰囲気、そんな時代に携帯できる形の人工甘味料が本当にあったのか… と不思議に思って調べたら、薬学史学会なる団体のサイトを見つけた。

この「Sucre Edulcor」は、1887年にパリ3区(のちに9区へ転居)の薬剤師、Charles Garnierが製造販売を始めた、サッカリン甘味料。
1891年には商標登録された(サッカリン自体の発見は1879年)。

タブレット状と書かれているので、当初は板チョコのような形のものを手で分割するスタイルだったのだと想像。

1899年、ガルニエ氏はエデュルコール甘味料の製造および販売権利をCroix de Genève薬局(パリ6区)のEmile Férréに譲渡した。
それに伴い、製造ラボも左岸ビュシー市場近くに移転。

(移転したパリ6区のCroix de Genève薬局)

Edulcorをさらに小さな錠剤状に圧縮製造するのに、フェレ氏が成功したのが1905年。ということは、私の買ったアルミ缶は、1905年以降に製造されたものだろう。

近世ヨーロッパにおける最も古い人工甘味料は、1841年から使われていたというthaumatine(ソーマチン。西アフリカのクズウコン科の植物Thaumatococcus danielliiの果実から単離されたタンパク質の混合物)。

以来、1921年のインスリンの抽出成功まで、様々な人工甘味料が研究開発される。