去年と同じメンバーで、こじんまりと過ごしたクリスマス。
テーブルクロスとグラスの他は、18世紀から19世紀の食器とカトラリーを主に使った。
デパートLe Bon Marchéの食品館、La Grande Epicerie de Parisのパン売場に、年末だけ並ぶクリスマスツリー型パン。サイズちがいの星型パンを重ねて串で留めているだけなのに、かわいい。これが食卓にあると、パーティーらしくなるのだ。
手前はイベリコ豚ベジョータ(ドングリを食べて放牧で育ったイベリコ豚)の生ハム、24ヶ月熟成もの。いかにも崩れやすそうな繊細さだったので、真空パックから出してそのまま、楕円型のCul noir皿に滑らせた。
11月に15区のブロカントで買った銀メッキの楕円型の器は、フォアグラ用のイチジク入りブリオッシュを盛るのに使用。
フォアグラに合わせたアルザスの白ワインGewürztraminer(ゲヴュルツトラミネール)のジュレが、なかなかおいしかった。色もゴールドで華やか。
ここでやっと自分で調理した前菜、うちのクリスマスの定番になっているサモサ(いつもはホタテとフォアグラとコリアンダー)。
招待客T(夫の友人)は山育ちで海の幸が全くダメなので、具を「洋梨と生ハム(イタリアのスペック)とバジルの葉」に変更。これは食べてくれた。
メインは牛肉、最高に柔らかい部位Coeur de Rumsteakのロースト。
購入の際に焼き方を訊くと、「肉は焼き始める1時間前には常温に置く。240度で15分間オーブン内を熱する。そこに肉を入れてすぐ温度設定を180度に落として20分でセニャン(レア)。」ということで、教えに忠実に従ったら大成功。
やはり肉のことは肉屋に訊くのが正解。
つけ合わせはジャガイモのピュレ(ちょっと練りすぎたね)。
Picardで買い求めたBioのピュレ(Bioじゃないのは売り切れだった)に、生クリームと瓶詰め白トリュフクリームを混ぜて、トリュフ風味ピュレにした。
取り分け用の銀のスプーンは、つい最近パリ3区のブロカントで買った「ほぼ観賞用」スプーン。
牛肉の断面の素晴らしい色!
1875年製のGienのアザミ模様の皿が青と白のコンビなので、赤や黄色の食べ物が映える。トリュフ入りマスタードも添えて、しつこいほどのトリュフぜめ。年末とは、すなわちトリュフである。
ワインは2007年のSaint-Joseph、まだ少し若い感じだったが、おいしい。
マドレーヌ寺院の横のMaison de la Truffeに行列して買ったチーズ2種。
きざみ黒トリュフ入りのブリーと、スライス黒トリュフ入りのブリア=サヴァラン。後者は店の人に勧められて購入、生スライスだけに、トリュフ香がさらに濃厚。
チーズを食べる際に星型パンを串から外して配る私を見て「あっ!これって食べられるパンだったんだ!」と驚いていたT氏。飾りだと思っていたらしい。この人、おもしろいわやっぱり。
デザートのビュッシュ・ドゥ・ノエルは、Hugo&Victorで予約したNuits-Saint-Georges。栗とカシスってこんなに相性良かったのか。
ビュッシュの盛りつけには、半年前に入手して以来まだ出番のなかった、19世紀のパリ名所飾り皿(直径36,5cmで真っ平ら)を。
名所9ヶ所の中にエッフェル塔がないので、塔建造の1889年よりも前の品。
ビュッシュの断面も。
栗ムース、栗クリーム、マロン・グラッセ、カシスクリーム、カシス入りアーモンドビスキュイ。
「クリスマスにはチョコレート」というのがフランス人の掟らしいが、今まで知らなかった。日本で言うところの「おせちには栗金団」っていう感覚と同じかな?(多分ちがうね)
Le Chocolat Alain Ducasseの詰め合わせチョコレートを試す口実ができたと、喜んでいそいそと買いに出かけたのだ。ひどい雨の日に。
コーヒー、トンカ豆、ティー&レモン、キャラメル、ミント、ライムあたりが特においしかった。
ミントに至ってはさすがのアラン・デュカス、生ミントの葉をかじったかのような野趣あふれる爽やかさと、正統派チョコレートの上品さが完璧に調和していた。味覚だけではなくて、全身が揺さぶられるような経験をくれる。