3ヶ月ぶり。最近この場所でのブロカントが増えたなと思う(いろんなオーガナイザーがここでやるのだ。観光客で常に賑わっているからね)。うちからだと乗り換え多くてちょっと行きづらい場所なんだが、しょうがない。
駅を出てすぐに教会の門の前あたりを見ると、赤いロープが巻き付いたスタンドがあった。友人Lだ。
ひとしきりLと喋ったついでに、彼女の出店時によく遭遇するカップルの男性の方の名前をこっそり教えてもらった。顔を合わせれば挨拶する状態がもう5年は続いていて、あちらは私の名前をしっかり覚えていてくれるのに、男性の方の名前がさっぱりわからなくて困っていたのだ(今さら本人に聞くわけにもいかず。女性の方の名前は初めからずっと覚えている)。このカップルの長年の友人であるLでさえも、彼の名を正確に覚えるのに3年かかったと言っていた。なるほど昔の文学作品の登場人物のようなクラシックな、ちょっと記憶しにくい複合名だが、すかさずメモしたのでこれで忘れない。
彼女のところでは何も買わず、つづいて駅前広場の方に並ぶスタンドを見て回る。
ガラクタがごちゃっと置かれたテーブルに、親しみのある意匠の器を発見した。
日本の骨董には明るくない私でも、もしやこれって伊万里では、と思わず手に取る。
輪花皿で、金彩入り、唐獅子と鶴丸、中央に牡丹。青海波と紗綾形のモチーフ。めっちゃ… 日本だよね。直径25cm、高さ4cm。ギリギリ八寸皿と言っていいものか?
すごく繊細に描かれた意匠というわけではないけれど、こういうタッチも好きだ。手描きなのは確か。
100年くらい前のものかもな… フランス人が1960年代あたりに日本に旅行した際に、骨董屋で買い求めたんだろうか。それとも、こちらに移り住んでいた年配の日本人の持ち物だったんだろうか。
裏側はこんなの。
おめでたいシンボルが満載なので、お正月の食事の時に使おうと思っている。
いつか古伊万里に詳しい人と話すチャンスがあったら、この器の正体を訊いてみたいものだ。
買ったお皿をだいじに抱えて通りがかった、小さなスタンドに、これまた愛らしいものを発見。
これじゃ愛らしさが伝わらないと思うので、
これでどうだ!わざわざ季節外れの高価なイチゴを買ってきたよ、ひじょうに酸っぱかった。
これは1940年代の、ままごとである。
生のイチゴを入れる壺のような容器が昔は存在していて、そのミニチュアかな… と思いかけたのだが、そんなことをしたら実が潰れてしまう。それに、イチゴ専用のお皿は別に存在したのだ、こういう穴あきの平たいのが↓
ならばこれは、イチゴジャムの容器のミニチュアだ!口のところに紐を噛ませる窪みもあるし(昔のジャム容器の蓋は、蝋引きを施した四角い布を瓶の口にかぶせて、紐でゆわえたもの)。
ままごとでも必要だよね、いちごジャム。
売ってくれたのは、控えめな仕草がなんとも可愛らしい雰囲気の老婦人。「私はねえ、この歳になってもままごとが好きでね…」と、はにかみながら話してくれた。私もずっと好きですよ、ままごと。