ヴィンテージ服ディーラーKとJの2人も、春のファッションウィーク中にポップアップストアを開くという。彼らがクリニャンクールに店舗を構えてから長らく会っていないんだよな。
初日の午後に着くと、Kが1人で店番をしていた。1年以上ぶりの再会だ。
しばらくすると、ヴィンテージ服ディーラーFが現れた。彼には1月に3区のブロカントでもばったり会ったのが記憶に新しいけれど、行動パターンがお互いに似ているのだろうか。
特に探している服はない。全部ざっと見たら帰るつもりだったのに、途中で「あ、冬の仕事で履ける黒っぽい真面目なパンツがないかも」などと思い始める。いや、黒いパンツあるんだけど、裾がスカート並みに超ワイドとかウエストが超ギリギリとかで、普通の見かけで普通に履けるものが意外とない。
そこでValentinoの濃いグレーのフランネル地のパンツと、Emporio Artmaniの黒いウール地のパンツを試着用にピックアップ。
まずはグレーのValentinoを履いてみる。お、いいねえ、ふっくらと上品な落ち方の生地だねえ。Fが近くにいたので、「これからもう1本別のを試着するから、どっちがいいかアドバイスしてよ!」と頼む。
黒のArmaniに着替えて鏡の前へ。どちらもほぼ同じ時期に作られたイタリアンブランドの服なので、かなり雰囲気が似ている。「わー、これは難しいや。さっきのグレーの方がタックが多かったっけ?」とFが言うので、もう1度グレーの方を着に試着室へ戻る。
グレーの方がよりコンサバでフェミニンというか、いかにも仕事向きの雰囲気。黒い方はイタリア的解釈のボンタン気味シルエットって感じで面白い。この2点の価格差は30ユーロ(グレーの方が安い)。
ふだんは試着なしで即決タイプの私が、珍しく悩んでいる。Fが「黒い方がポケットの作りが両玉縁(フランス語ではpoches passepoiléesっていうんだね、知らなかった!)で丁寧だ」と言う。たしかに。ウエストのデザインも、黒の方が格調高くて好みだ。昼の仕事でも夜のパーティーでも着られそうという点では、黒の方がいい気がしてきた。じゃあ黒で。
ということで、1980年代のEmporio Armaniのパンツを選んだ。
撮影しながら気づいたウエスト後方のごく小さな穴は、いつものなんちゃって刺繍技術で埋めた。
そういえば同じブランドのトップスを2年ほど前に買ったんだった、あれと合わせるのも良いな。
裾が少し長いのだけれど、とりあえず折り上げて履く。裾にも芯地が入っているようで、うまく自分で裾上げできる気がしないのだ。ハイヒールを履く時は裾が長い方がいいと思うかもしれないし。