パリ10区(rue du Château d’Eau)のブロカント | 2023/04

前日のブロカント訪問の満足度がイマイチだったので、日曜日には10区のヴィッド=グルニエ(地域バザー)に行った。

4月半ばにしては気温が低いものの、晴れているので気持ちいい。

メトロ4番線のChâteau d’Eau駅から歩いて、最初に見つけたのはJのスタンド。あれ、いつものお知らせメールが来なかったから、この週末はどこにも出ないんだと思っていた!

聞いてみるとメール送信に不具合があったらしく、顧客リストの半分の人々には届かなかったとのこと。そういうこともあるのね。

ひと目で気に入ったワンピースが1着。この模様、前にもJのスタンドで見たことがあるような…

「前に仕入れてすぐ売れたワンピースと、まったく同じものが見つかったんだよ!」とJが言う。以前に見たけど私が買わなかったってことは、状態がイマイチとかそういう理由だろうか。

ベルト付きで、背中がV字に開いていて涼しげ。この個体の状態は申し分ないので、買わない理由が見つからない。

ブランドタグは切り取られているけれど(安売り処分する時にブランドみずからが切る)、JによればおそらくLouis FéraudとかGuy LarocheとかGeorges Rechあたりの格の品だろう、と。縫製も丁寧だし、私もその意見だ。

しかもめずらしいことに、メイド・イン・ユーゴスラビア。私にとっては2着目である。

いかにも1980年代っぽい陽気な雰囲気だなと思って買ったのだけれど、洗ってアイロンを掛けて少し離れた場所から見ていたら、サボテンとギターと帽子の存在に気づく(写真に撮ったらすぐわかるんだけどね)。

メキシコふうのイラストだったんだ!ヴァカンス気分が盛り上がるいい模様だ。


次に見たのは、ヴィンテージ服ディーラーSとYの合同スタンド。彼女らから、ここに出店すると事前に聞いていた。セールと言うだけあっていつもよりだいぶ安い。

Yのセレクトから、1930-40年代のものと思われる綿のトップを見つけた。

シンプルなT型で、襟ぐりと袖口に赤とグレーの刺繍が施されている。

よく見るとグレーは微妙に濃淡のちがう2色づかい(糸が足りなかったのかも?)で、刺し方も丁寧だ。

さて、もう1人のスタンド主Sのセレクトからは、2着を選んだ。

1つ目は、紫色のパンツ。

ヴィンテージの夏用パンツは赤もピンクも黄色も緑も青も持っているのだが、紫はまだ持っていないのだ!(紫とシルバーのラメのニットパンツは持っているけど、紫の印象が弱めなので除外)

ブランドタグがついているのに気づいて見たら、Caroline Rohmerだ。このブランドの服は2点(だっけ?)ほど持っていて、ブロカントでもよく見かける気がする。

色を気に入って飛びついたけれど、裾のすぼまり方といい、ベルト代わりのの幅広リボンといい、よく見れば好きな1980年代テイストだらけだ。

2つ目は、格安セール箱にごちゃっと入った中から掘り出したAnastasiaのイージーパンツ。これも1980年代。

素敵な模様!と手にとって見ていたら、「それ初見じゃないはずだよ!ほら股の内側の補修パッチが…」とSが言う。あ、ほんとだ。去年の今頃に3区のブロカントに出ていたSのスタンドで見つけて、このやたら大きくて分厚くて硬いパッチが気になって買わなかったんだった。

Rとかiみたいな文字にも見える抽象的モチーフ。

うーん、どうしよう、と少し悩んだ… が、たっぷりした形のパンツだから、問題の部分をカットしてリペアすればいけるのでは、という見立てでSと一致。

(最近はちょっとした修理はさっさと自分でやってしまうようになった。いいミシンを持っているおかげだ。上達が必要な分野では、最初から上位機種の道具を買う方がいいってほんとだわ)

しかし、手のひらほどもあるパッチの大きさが問題。これ全部詰めちゃうと今度は小さくなりすぎて、股上が足りない危険が。

そこで思い出した。私は補修パッチをつけるときに、アイロンの温度をまちがえたり、冷える前にまたアイロンを当ててしまったりして、失敗した経験が何度もある。低めの温度でアイロンを当てれば、糊が中途半端に剥がれてくれるのではないか?

アイロンを当ててまだ布が温かいうちに端から引っ張ると、少しずつ剥がれてくるぞ、イエーい!というわけで30分ほどかけて(つかれた)、片方は剥がすことに成功。

もう片方が問題。アイロンではどうにもならないのだ。なんでこんなにゴリゴリにパッチつけたんだよ前の持ち主は!

しばし考えて、糊だし、酸には弱いんだろうかと思い立って、掃除用の14度のお酢に浸しては引っ張る、という方法で1時間ほどかけて剥がした。ささくれだらけだった指先が痛くて、涙をこらえながらがんばった。

糊は少し残っちゃったけど、あのゴッツいパッチ布の本体が残るよりはマシ。

さて、傷みのひどい部分をカットして、いざ縫う。履くまでドキドキしたけど、なんとかリペアは成功した。

結果をSに見せるのが楽しみだ。5月に会うから着て行こうかな。


さて、最後に軍ものディーラーTのスタンドへ。

少し前に買ったフランス海軍の青いジャンプスーツを手放したので、また青いのを探した。

けっきょく前に買ったのとはちがう、綿100%の作業用ツナギを購入。

ジッパーには見たことのないAの文字が。

ジッパーの製造会社でAがつくのは、グルノーブルのメーカーA.Raymondだけである。

A.Raymond社は1865年創業。金属部品の製造会社で、1950年代の終わりくらいまではジッパー製造も盛んだったと企業概要にはある。1960年代以降はプラスチック素材のジッパーのシェアが増大し、A.Raymond社の金属製ジッパーは減産を経て製造終了したようだ。

軍の供給品には見えないので、民間品の作業着かな… 1970年代あたりの品だろうと思っていたけれど、もしかしたらもう少し古いのかもしれない。

裾が不思議なまつり縫い仕様だったのは、ほどいてミシンで縫い直した。

ジャンプスーツ用の自分の股上の理想の長さをメモしてあったので、ちゃんと測って確かめたからバッチリ。屋外での試着がめんどうなのだ、ツナギは。