パリ18区(rue Caulaincourt)のブロカント | 2022/04 その2

日曜日にも前日↓と同じブロカントに行った。

友人Lにお菓子の差し入れをしたかったのだけれど、日曜日は休みのパン屋ばかりで困った。

Cのスタンドの前を通りがかり、「今日開いてるパン屋ってある?」と訊いたら、すぐそこの店は開いてたよ、と教えてくれた。見ればケーキの選択肢が少なくて、他を見ようといったん店を出たものの、もう1ブロック先のパン屋は閉まっていたのですぐに戻ってきた。

パリ・ブレストと、モカ・エクレアと、トロペジエンヌと、レモンタルト。今日のLのスタンドに何人の助っ人がいるかわからないので、4つ用意した。Lも、どれかは好きなのがあるだろう(彼女のお菓子の好みは難しいと聞いているので、具体的にメモってある)。ちなみにレモンタルトは自分の好みです。

広場まで一気に坂道を上ってスタンドにたどり着くと、Lと、男性2名がいた。良かった、数を多めにしておいて。Lは予想どおりパリ・ブレストを選び、私は隣に腰掛けてレモンタルトを食べた。誕生日が近い者どうし、さながらプチ誕生日会である。快晴で風の爽やかなモンマルトルで野生的に頬張るお菓子、贅沢で良い。レモンタルトは美味しいのだが、顔が歪むくらい強烈に酸っぱいフィリングが好みな私には、少し物足りなかった。

食べ終わって改めてラックを見ていると、赤い水玉模様の生地が目に入った。こんなの昨日はなかった気がするぞ。水玉模様が明らかに規則的じゃないのでひと目で違和感を感じた。

1950s 水玉シャツジャケット半袖

1950年代の手作りの品物。まるで夕焼けの空に舞う雪片のような生地である。

これ、きっと揃いの生地でワンピースも作ったんだと思う。


次に、軍ものディーラーTのスタンドへ。

着いた途端に、あるグレーのジャケットに目が釘付けになった。

1999 Royal Air Force Musicians No.9A Concert Dress

Royal Air Force(イギリス王立空軍)所属の音楽隊のコスチュームである。未着用品!

ところが、RAF音楽隊のコスチュームを画像検索しても、この同じ形のものがヒットしない。シングルブレストの丈長のものばかりである。廃止されたモデルなのかな…

軍ものだし何か情報があるはずと思い、内ポケットに挟まれたタグを引っ張り出すと、

No.9Aってなんじゃろ??まさか、ベートーヴェンのアレじゃないよね… と念のために検索したら、

ベートーヴェンの第九って、ロンドンのフィルハーモニー協会が発注した曲だったんだ!知らなかった!
ということはこのジャケットは、第九のコーラス用ってことでは?

で、検索ワードを変えてさらに調べる。

みっけた!!!第九じゃないけど、ベートーヴェンを演奏するトロンボーン四重奏の演者たちが着ている動画を発見。これと同じだ!しかしやはりこのトロンボーンめっちゃうまいな(青春時代に長いこと吹いていたので懐かしい)、さすがのRAF音楽隊(動画は埋め込めなくなったので削除した)。

ということでやはり私が買ったこのジャケットは、第九コーラスの女性用と思われます。イギリス人でしかも軍隊勤務でこんなに小柄な人はたくさんいなかったようで、使われずにブロカントにたどり着いた。

いやあ、いつかイギリスメイドのジャケットを欲しいとは思っていたのだけれど、まさかこんなふうに入手できるとは。さすがの生地の良さ、仕立ての丁寧さ、形の美しさ。

肩章は欠けているのだが、肩章をつけるネジ部分がツノみたいでちょっとかわいいとも思っている。