11月初旬に、2年ぶりの長距離移動をした。
義父たち夫婦が引っ越す前に今の家を見納めようと、夫が電車の切符を手配していた(たまにオーガナイズモードにスイッチが入る)。ところで当時の私はiPhoneで写真にエフェクトかけるのにやたら凝っていたんだね… われながら見づらい写真だ。
私のプロヴァンス訪問は4年ぶり、夫にとっては2年ぶりである。
2年前にはまだ義母がひとり暮らしで、我々が2人そろってパリを離れるのは不安だということで、私は留守番および見回りを申し出たのだった。数年ぶりに父と息子で話したいことがたくさんあるだろうし、私がいると気を使うだろう(私も気を使うよ)と思った。プロヴァンスの風景は美しいし好きだけど、じつは3日で飽きてしまう私。まったく素敵な田舎暮らしには向かないタイプである。
さて、今回の滞在中に夫がしたかったことのメインは、母親の生家(もう何十年も前に売却されているが)周辺の写真を撮ること。足が悪く持病もあり、もう故郷を訪ねることができない母親に、フォトアルバムに仕立てて贈ると言っていた。が、一向に起動する気配はない、春までにアルバムは完成するんだろうか。
私はこの街、ヴィルヌーヴ・レ・ザヴィニヨンには2014年にほんの少しだけ寄ったことがある。綺麗な街だったし、散歩を楽しみにしていた。
午前中に義父が車で、義母の生家跡前まで送ってくれた。離婚して30年以上経っても、けっこう覚えているもんなんだね、と妙な感心をしてしまった。
フィリップ美男王の塔の側から散策を始め、義母と義父が恋人時代にデートしたであろう小高い丘からアヴィニヨン方面の絶景を臨み、教会前広場を過ぎる。夫は熱心にあちこち撮影をしている。
義父の妻おすすめの洒落たレストランで昼食を済ませ、旧市街の目抜き通り(といっても2車線ギリギリではという道幅)をなんとなく歩いていると、小さなアンティーク屋があるではないか!もちろん入ってみる。冬の平日で、開いている店がただでさえ少なかったし。
特にセンスがどうのというわけではなく、仕入れたものをざっくりテーブルに置いてあるといった風情の店。でもこういう雑多な品ぞろえを、端から端までじっくり見ていくのが楽しい。何が見つかるかわからない。
そして、見つけた。細々と集めている、象牙のブレスレット。
こういう彫り細工の入ったデザインが最近は気になっていた。1930年代ごろのものかと推定。
これでコレクションは7本目だ。かの街では売れにくい品物なのか、パリに比べるとずいぶん安かった。
もうひとつの買い物は、古い綿麻の布巾。JGのイニシャルを持つ友人を思い出して、なんとなく購入。
店を出てしばらくしてから店名を記録しておこうと地図を調べたら、なんと、店主の苗字は夫と同じだった。この地方には多い苗字なので、元は遠い親戚だったりして。
さらにもう1軒、軒先に古いカゴや椅子や食器を売る店を見つけた。
こちらはディスプレイにも品ぞろえにも店主のこだわりを感じる。
古本が10冊ほどあった中に、Yves Saint Laurentの写真集が。ちょっと見るだけのつもりが最初から最後まで熱心にじっくり眺めてしまい、その様子を見ていた夫が買ってくれるという。わーい!
サンローランの代表作を、錚々たる顔ぶれの写真家たちが撮影した豪華本。ちょうど調べたいこともあったし、こういうのも旅先の楽しい思い出になるね。
翌日は、どんより天気の中をアヴィニヨンへ。
冬に来たのは初めてで、こんなにも人がいないものなのかと逆に新鮮だった。夏には石畳のブロックの数より観光客の方が多いくらいなのだ。
教皇庁の裏のSaint-Pierre教会のそばに、ヴィンテージ家具や雑貨を売る店を発見した。もちろんここにも入ってみる。
1960年代から1970年代あたりの品物が多め。いかにも1970年代な、未来的デザインのペン立てを買った。
メモ帳も挟んでおけるので、当時は電話の横に置かれていたのだろうな。
横から見るとちょっと雑誌「ムー」のロゴっぽい。