11区で用事があるたびに行こう行こうと思っているのに、なぜかいつも帰りに寄るのを忘れてしまうヴィンテージ服店があった。
先日、その店の存在を教えてくれた友人に「あの店のオーナーもglam rock shopper®を欲しがってたよ」と言われ、これは早急に行かねば、と意を決する。
もう少し歩くかと思ったら、意外に駅から近い。
ブティック入り口にはペンキ塗りたて注意の貼り紙が貼られていた。店内を覗くと、天井が高く清潔で明るい。
店主はスチームがけの真っ最中だった。
とても朗らかな人で、私の持っていたショッパーを見てすぐに反応してくれ、会話が自然に弾む。
良い状態の品ばかりを厳選し、商品量は多すぎず少なすぎず、理想的な小売店だ。
ただ、状態が良いだけに価格も少し高め。何か私にも買えるものはあるだろうか…と探していたら、目の覚めるような朱赤色のニットを発見。
Kenzoの1980年代のニットで、前身頃が着物のような合わせになったデザイン。
試着させてもらったけれど、首アキが小さいのと、想像よりも伸縮性のない作りで(基本はニットだけれど、前身頃は切り替えで縫い合わせてあって、強く引っ張ると壊れそう)、着るのに少し難儀した。
色はバッチリ、着る前から似合うのはわかっていた。こういう彩度を黄味方向に振り切ったような赤は、われわれ極東アジア人には文句なく似合う。
似たような形のRick Owensの茶色を持っているのだけれど、この朱色は欲しい。色が好き。濃いめのグレーとかに合わせて、冬にたくさん着たい。
よく考えたら、これが私の初ケンゾーではないだろうか。似合うものに初めて出会った。