髪の毛を切ってもらってさっぱりしたあと、また3区のブロカントに戻る。初日には必ず2度行ってしまう、特別に楽しいブロカントなのだ。
午前中に探したけれど見つからなかったFのスタンドの正確な場所を訊いて、まっすぐに向かった。
こんどはすぐに見つかった。彼女のお母さんも来ていて、「私の巨大トートバッグを作ってくれた人だよ」と紹介された。
バッグを作る人として紹介されたのは初めてだ。
Fのラックではいかにも1980年代な、エレクトロ・ファンクなデザインのトップを見つけた。手作りかと思ったら、れっきとした量産品だったようで、内側にタグがついていた。
年配の女性のスタンドに、彩度の高い赤い色のシャツが吊られている。
触らなくてもわかる、輝くような最高級のコットン地だ。
今のFigaretのシャツとはちがって、フランス製である。1980年代後半あたりかな。
じっとみているとオレンジなのか赤なのか分からなくなってくる、それくらい鮮やかな色。
鏡を借りて、一瞬だけマスクを外して顔映りを確認していたら、「あら、あなたそんなに似合うなら、買わない手はないでしょう」と言われた。
なので素直に買った。最近気づいたのだけれど、どうやら彩度高めの赤とかピンクとかが意外に似合うようだ、私にも。
最後に友人Lのスタンドに寄る。朝とはちがって、きれいにスタンドが仕上がっていた。
スタンド内のベンチに座ってしゃべっている時に、7月末の入荷時から気になっているLanvinの水色のシルク地セットアップが、まだ売れていないことに気づいて愕然とした。
さすがに今日には売れてしまうだろうと思っていたのだ、少ないとは言え、ヨーロッパのバイヤーも来ているのだし。
Lに話を振ると、「これを気に入った人にはサイズが合わなくて、サイズが合う人は数字の3の模様に抵抗があるのか買わないんだよね、ミスマッチが続いている」と。
えー、私これすごい好きだから、履けたら買ってしまうよ。ちょっと履いてみよう、とワンピースの下からスカートだけ試してみたら、履けた。
では上も着てみようと、大きな布を張って簡易試着スペースを作ってもらい、試着。上は着られるのがわかっていたので問題なし。
1978年とか1979年の服らしい。袖ぐりなどの細かいところは、手でまつってある。
2ヶ月も売れずにいたってことは、私のところに来たい服だったんだ、ということにして、購入した。
夏日の気候の週末のうちにどうしても1回は着たいと思い、帰宅してすぐに洗濯して、翌朝にアイロンをかけ、着てLに見せに行った。