友人ディーラーが出店すると言うので、早起きして喜び勇んで行ってきた、ヴァンヴの蚤の市。
私のヴァンヴ訪問はなんと、6年ぶりらしい。うちから行きづらいところにあるうえに午前中しか開いていないので、本当にめったに行かないのだ。
蚤の市の入り口から見始めて、半ばよりもやや奥まったあたりに、Lがいた。いつもパリで構えているスタンドよりもだいぶコンパクトながら、彼女らしさがギュッと詰まった一角。
スタンドを構える姿を見るのが久しぶりすぎて、なんだか感激してしまう。
あいさつもそこそこに、さっそく商品を見せてもらう。
あるワンピース(生地のモチーフから1950年代かなと思ったが、タグと裏地の感じから1970年代末あたりだと思う)を見た瞬間、これは私の買うべき服でしょう、とピンと来た。なんとLもこれを仕入れたときに私のことを思い出したらしく、よく好みをわかってくれているのはさすが。
ウエストのベルト通しが切られて中途半端に残っていたのを全てピンセットで抜いて取りのぞき、布の破れたところを2ヶ所修繕した。
これくらい長さとボリュームがあると、白いスニーカーと合わせたときにバランスがいい。中くらいのヒールのサンダルにクラッチバッグを持てばお出かけ用、スニーカーで大きなカゴバッグを持てばピクニック用、といろいろ楽しめる。
次に見つけたのは、1920年代ごろのニッカボッカー。
保存状態の良いヒッコリー・ストライプ地で、膝のボタンが4個のうち1個しか残っていないことをのぞけば、ほぼ完全な状態である。
後ろのベルトの金具は、ベルト穴を通すのではなくて、2本の針が布地を突き刺すタイプ。金具には小さくPARISの刻印がある。
この2点の買い物を終えて帰ろうかと思ったが、そうだ、値段を聞くのを忘れた品が1つある。
もっと高いかと思ったらそうでもなかったので、現金を下ろしに行ってそれも買った。
1980年代のシルク地のドルマンスリーブの羽織り。
肩のあたりにシミが何ヶ所かあった(このせいで買うのを最初は躊躇した)のは、無事に落とせた。
右ポケットに当時の値札が入っていたし、正真正銘のデッドストックである。
Mouche(ハエ)という屋号の、個人商店が作った服かな。素材タグには「手染めシルク」との注意書きで、洗っていたら案の定、色が染み出してきたのであわてて濃いお酢に漬けた。
羽衣のように軽くて、輝くような黄色。下に着た衣類が透けるので、十二単の襲の色目(かさねのいろめ)みたいな楽しみ方ができるではないか。