ひと月ぶりの2区のブロカント。
またしても、にわか雨と強風が交互にやってくる、奇妙な天気の日だった。
証券取引所前は閑散としていて、いつもの3分の1ほどの出店者数だ。
ときどき買い物をする、ある男性の衣類スタンド(そろそろ顔を覚えてもらった気がする)のラックを端から順に見ていくと、天井から吊られた鮮やかな色の1着に目が釘づけになった。
手が届く範囲で内側を覗くと、洗濯表示タグは最近のものだ。1990年代とか2000年代とか、そのあたり。
「試着したかったら下ろすよ」と店主は言ってくれたけれど、いかにも高価そうなので先に値段を訊いた。お、意外に手が届く範囲だ。
他の服もぜんぶ見て、やっぱり気になるのはあの1着だけ。試着させてもらった。
思ったとおり似合う。1度脱いで全体の状態を確認して、また羽織ってみる。やっぱり似合う。
Sonia Rykielのベスト。素材はチベット羊の毛皮である。
見た目は真冬の素材だけれど袖がないので防寒にはならないし、着る機会は限られそう。冷静に考えたらふつうの人は買わないのだろうけど、こんな素材の理想的な色の服に、先々出会えるとも思えない。よし、買うのだ。
というわけで、紫色のイエティ風のチョッキを買った。