パリ左岸ボンマルシェ百貨店の近く、ここの小さなブロカントに来るのは約1年ぶりだ。
紙ものディーラーDのスタンドで、またパリの地図を見つける。
パリの地図帳と言えば思い浮かぶのは、キオスクで売っている紺色の表紙のL’Indispensable出版。この同じ出版社が1944年に発行した、パリ全図である。
1944年は、ナチス・ドイツからパリが解放された年だ。
ドイツ占領下ではあらゆるものにドイツ語が併記されていたと聞くので、この地図はおそらく、秋以降の自由になったパリで発行されたのだと思う。
ワラ半紙のような低品質の安い紙に(戦後すぐの物資不足がうかがえる)、茶色の1色刷りの地図。その上から、観光名所がスミ1色で重ねられている。
このイラストが、たまらなくかわいいのだ。
エッフェル塔とトロカデロ宮は俯瞰で描いてあるのに、エコール・ミリテールやアンヴァリッドなどは正面からハンコで押したような絵だったり、
ヴァンセンヌの森近くの動物園のところには、オコジョ(かな?四肢が立派なのでシロクマに見えなくもないが、パリの動物園にシロクマいたかなあ…)がいたり。この適当で楽しい感じがいい。
R.COLNEというサインがある。
おそらくイラストレーター(兼グラフィックデザイナーだったと思われる)の名前だろう。