パリ6区(Pl. Saint-Sulpice)のブロカント | 2018/06

半月ほど前にも同じ場所での骨董市に来ているけれど、それとはまたちがう主催者のブロカント。古書古紙類、テキスタイルやオブジェ、家具など、幅広いジャンルのアンティーク・ディーラーが集合していた。

恰幅の良い年配の男性が仕切るスタンドのガラスケースの中に、栓抜きやパイプなど、紳士が蒐集したであろうオブジェが並べられている。
何かありそうな予感がする、と思って入った途端に、見つけてしまった。

お願いしてケースから出してもらう。
こういう小さなオブジェは人の手を渡って旅するもので、出自の国の断定はできないけれど、フランスまたは周辺国で作られた、19世紀後半から1914年ごろまでのものだ、という。

想像どおり高価だったので、すぐには買わずに他を見て回るが、気もそぞろ。
やっぱりあれは必要と強く思い、現金を用意して戻ってきた。

「こんなに素敵なオブジェが、なんで今まで売れなかったのかほんと謎なんだよ」と、売り主の男性。実店舗は持っていないそうで、年に3-4回こういった骨董市に参加するのだ、と言う。

お店がないなら、なおさら買っておいてよかった。

磁器製の頭蓋骨がついた、ボトルの栓。
つるんとしていてリアルすぎない、ユーモラスな造形だ。

なんか不思議でおもしろいなと感じたのは、頭蓋骨にしっかり太い首がついているからだったのだと、いま気づいた。

横から見るとよくわかるが、首だけが妙に肉肉しい。

コルク部分は簡単に外れ、磁器部分を丸洗いできた。

これを飲みさしのワインの口に挿してテーブルに置けば、「アルコールは体を蝕むぜ… ヒヒヒ」という彼の視線を感じながら、ポジティブに退廃的な気分でワインを嗜むことができる。とてもいい。そして、ちょっと海賊船に乗った気分もする。

元からついていたコルクは傷みが激しく、埃っぽいにおいもするので、最近開けたワインのコルクを適当にナイフで削って、新しいものを作った。
なかなか良い仕上がりで、満足している。