やっと春が来た、という日差しの気持ち良い土曜日だった。
前回この大通り沿いのブロカントに来たのがもう3年前とは、月日の経つのは早い。
最近すっかり仲良くなった紙もの専門スタンドの女性を見つけて、挨拶する。
彼女は常にハイテンションなので、こちらもつられてオーバーアクションになる。はたから見たら、まるで数年会っていなかった友人同士の再会場面のようだけれど、ほぼ毎週末に会っている上に、お互いの名前を知らない仲である。
第一次世界大戦の頃の軍服姿で、自転車に乗る男性(陸軍に自転車部隊というのがあったらしい。バイク隊の前身かな)のイラストが描かれたポスターに惹かれて近づいた。
すると、そのポスターのそばに立てかけられた、大きな鉛筆デッサンが素晴らしいことに気づく。
右下のサインを読むと…
なんと、Hervé Morvanだ!
エルヴェ・モルヴァンの仕事はサヴィニャックと同じくらい好きで、他にはビュヴァー(インク吸い取り紙)や、映画配給会社Gaumontのキャンペーン用グラスなどを持っている(Gaumontのグラスは販売中)。
しかし、こんな墨1色のデッサンも描く人だったとは知らなかった。
楽屋での道化師が疲れたような退屈なような様子で、腰かけて一息ついている。
足元には相棒の猿がつながれていて、仮面、衣装、トランペットなどの小道具。
まだ額装をしていないので、買った時の状態(プラスチック板に挟まれている)で壁に立てかけてあるのだけれど、食事中に何度も見やって惚れ惚れしてしまう。全く飽きないで、何時間でも眺めていられる絵だ。
額縁はシンプルなタイプに決めたけれど、マットあり額装かマットなし額装かは、しばらく悩むことにする。