旅の3日目は、楽しみにしていたStiftung Insel Hombroich(インゼル・ホンブロイヒ・ミュージアム)へ。
美術館というよりは「芸術エリア」、または「アートを抱える森」と言った方が近いような。広大な敷地に17軒のギャラリーが点在していて、地図を片手に散策。
直線と平面でできた、シンプルで力強い構造物。
1つ目の館は展示作品のない白い空間。
ここで、来訪者は心身をニュートラルな状態にする。
「美術館へ行く」という行為が、ここでは「瞑想的な散歩」になる儀式。
監視員なし、作品のタイトルや作家名やキャプションもなし、人工の照明もなし。あるのは作品と、建築と、鑑賞者だけ。
屋外には「アート作品兼、憩いの装置」のような場がたくさんある。
全体の8割強を歩いたころに現れる建物。中はカフェテリアになっている。
飲み物、フルーツ、ポテトサラダや黒パンなどの素朴な軽食がカウンターに並び、自由に取って食べていいシステム。入場料に含まれているということのようだ。
気温が35度を超え、ガラス張りの室内は温室状態で、中で休憩する人はいない。
なぜかというと、
長い枝がしなる木の下が、とても涼しい。
各木陰にテーブルと椅子がある。
みんなカフェテリアで料理を取って木陰に直行し、にぎやかに休憩していた。
カフェテリアから出てしばらく歩くと、レンブラント、クリムト、ジャコメッティなど、巨匠芸術家たちのデッサンやエスキースの展示館がある。
作品の展示位置がやや低めなのは、子供目線への配慮かな。
個人コレクションの美術館は、主の趣味がわかって面白い。
アーティストの選択はもちろん、作品の主題や技法、構図の好みがなんとなくわかるのがいい。
ミュージアムを出たら、見渡す限り畑の中にポツンとあった即売所で、イチゴとサクランボを買い、デュッセルドルフに戻る。
ここまで車の冷房に感謝したのは初めてというほど、本当に暑い日だった。
昼の時間帯には満席という、大人気のレストランへ。
ニュールンベルグ・ソーセージが評判とのことで、迷わずに注文。これはおいしい!
(まだつづく)