パリ12区のブロカントの後、つづけて向かった9区。
ここのブロカントには何度か来ているけれど、規模がちょうど良くて、出店者の雰囲気も好みである。
右は1950年代のフランス陸軍のシャツ、デッドストック。
売り主にはチノ・クロスと言われたが、コットンで綾織りじゃないから、厳密にはチノではないような。
左は熱帯で活動用の袖なしトップで、蚊よけ加工生地製と書かれたラベルがついている(もうとっくにその加工は消えていそう)。
いかにもアール・ヌーヴォーな意匠が手描きされた、特大タイル。
デザインから想像するに、19世紀末から20世紀初頭の品(タイルの刻印は食器とは別物らしく、資料が乏しいので時代を特定するのが難しい)。
入り江に帆船にツバメ、アール・ヌーヴォー独特の曲線を描くアイリス(だと思う。アール・ヌーヴォー意匠に頻繁に登場する)の茎。
どんな趣味のいい邸宅の浴室の壁に嵌められていたのだろうと、想像をたくましくしている。
ひと目で気に入ったものの、すぐには買わずに他のスタンドを見て回っている時に、「さっきのタイル、チーズ用のボードとしてすごくいいと思うんだよね、こうしている間に売れちゃったらどうしよう?」とつぶやいたら、「ボロッちいタイルにそんな用途を見出して欲しがるのは君くらいしかいないから大丈夫」と、あっさり夫に言われた。
戻ってきたら、ちゃんと売れ残っていた。