毎度楽しみにしている、パリ3区のブロカント。
もはや恒例になった2度訪問の、前編。
19世紀末の農家で使われていた、木製の特大計量カップ。
Décalitreと書かれているので、10リットル用。家畜の餌を量るのに使われたらしい。文字入りの業務用品コレクターとしては、これは見過ごせない。
1900年頃製のグラスを2脚、前回もグラスを買ったスタンドにて。
店主に「半年前にもグラスを買ったよ」と言うと、「あー、あなたの声、特徴あるから思い出したわ!」と。そんなに特徴ある声なのか。
脚の部分の丸い膨らみがいい。
こういう造形のちょっとしたちがいで、物の雰囲気というのはずいぶん変わるものだ。
アール・ヌーヴォー意匠の小さなペーパーナイフ、これも1900年頃の品。
おそらく女性用の携帯サイズで、大きな封筒は少し切りづらい。でも使いたい。
しばらく前に、夫がペーパーナイフ(アール・デコだけど)を買ったのを見て、実はうらやましかったのだ。これで手紙の開封がより楽しい行為になる。
顔見知りの軍物業者のスタンドで見つけた3着。
奥のカーキ色のケープはマッキントッシュ・クロス製で、ゴム引きの微かな匂いがする。
フランス軍のデザインでないのは明らかなので出自を訊いたら、売り主は「えーと、たしかそうそう、スウェーデン、1950年代の」と言う。
プロの言葉なので素直に信じたのだが、この記事を書く段になって3カ国語で画像検索すると、出てくるのはスウェーデン軍ではなく、「英国軍ケープ」の但し書きばかり…
マッキントッシュ・クロスだし、英国製と考えるのが妥当に思えるのだ。これはイギリス軍のケープではないか。
さらに、カーキ色のケープが採用されていたのは1944年までだという情報を発見(以降はラクダ色)。ということは、「1940年代のイギリス軍のケープ」。もっと正確な事が判明したら、追記することにしよう。
数カ国の軍物を同時に大量に扱っていれば、全ての商品の国籍と年代を正確に覚えているのは難しいだろうね、特に数の少ないめずらしい物に関しては。
ケープの上に重なっているのは、フランス海軍の水兵シャツ。
去年買った物と同じデザインの、色ちがいである。この赤味がかったグレーで綿製のをずっと探していて、やっと見つけた(ポリエステル製の水色や白色の物はよく見かける)。
身幅が一直線なので着脱にコツが要るのだが、それでも好きなイカリのマーク。
関節を柔軟に保つモチベーションが1つ増えた、と思うことにしよう。
手前は、前回書いたプルオーヴァーの対になるパンツ。